本日の読売新聞教育面「教育ルネッサンス」で、総選挙に向けた模擬選挙の動きが取り上げられました。
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読売新聞 2009年7月22日 「教育ルネサンス」
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090722-OYT8T00295.htm
(5)模擬投票で政治に関心
[写真]本物の投票箱を使って模擬投票する玉川学園の生徒(8日、東京都町田市の玉川学園で)
選挙は大人と同じ立場で政治を考える機会を子どもに与えてくれる。
都議選の投票日を目前に控えた7月8日、東京・町田市の玉川学園の空き教室に、模擬選挙の投票所が設けられた。中央には銀色の投票箱、奥には両脇を仕切った投票記載>台が置かれ、正面には立候補者の名簿が張ってある。9年生(中学3年生)の約150人は、入り口で投票用紙を受け取ると、次々に都議選町田市選挙区への投票を済ませた。
本物の投票所の雰囲気を醸し出しているのは、町田市選挙管理委員会からすべて本物を借りているからだ。投票用紙は本物ではないが、ほぼ同じ書式で印刷した。準備したソ合宗隆(あいむねたか)教諭は、「生徒が大人と同じ目線に立つためには、雰囲気作りも大切」と説明する。(ソは石へんに「夾」)
ソ合教諭は、2003年の衆院選から国政選挙や都議選のたびに、授業を利用して模擬投票を行ってきた。今回は「現代の社会」という授業の一環だ。これまでに政府や国会の仕組みを習ってきた集大成と位置づけている。
生徒は投票の直前、20歳代の投票率が極端に低いことなどの説明を受け、選挙公報を読んでどの候補者に投票するか議論した。「顔がソ合先生に似ている」と直感で選ぶ生徒がいたり、「病院を充実させる人がいい」という政策重視の生徒がいたりで、投票直前の教室は意見を交わす生徒でにぎやかだった。
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模擬投票の動きを全国に広げようとしている団体がある。そ合教諭も参加する「模擬選挙推進ネットワーク」だ。国政選挙のたびに各地の選管から本物の投票箱や選挙公報を借りたり、各政党に依頼して授業で使う選挙ポスターや政権公約(マニフェスト)をもらったりしてきた。
事務局長の林大介さんは昨年10月、米大統領選に合わせて全米の学校で行われた模擬投票を視察した。インターネット投票を含めると、約500万人が参加したという。これに対して、林さんの活動で最も多かったのは、07年の参院選の約8000人だった。
衆院選での模擬投票を準備している林さんの苦労は、若者の政治への無関心に加え、活動への無理解だ。特定の政治団体を支援する活動と誤解を受けることもあり、代表の山崎武昭さんは、名刺に「特定の政党・宗教団体の影響下にない『公平・中立・公正』な組織です」という断り書きを入れているという。
神奈川県の県立高校のある教諭は「政治家を各党から呼んで生徒と議論してもらう授業をやりたいが、県教育委員会や校長に難色を示された」と、理解を得ることの難しさを打ち明ける。
投票が多くの学校が夏休み中である8月30日に行われることも頭が痛い。選挙が終わってから模擬投票をやっても生徒の関心を引きつけることは難しいからだ。
夏休み期間中に渋谷など、若者が集まる繁華街で模擬投票ができないか――林さんはそう思案している。(塩見尚之、写真も)
政権公約(マニフェスト) 選挙後に達成度を検証できるように政策の数値目標や実施期限、財源などを具体的に明示した政党の公約のこと。抽象的なスローガンや政策の羅列ではない。公職選挙法で、政党の公認候補の選挙事務所内や演説会場内、街頭演説の場所などに限って配ることができる。
(2009年7月22日 読売新聞)
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2009/07/22
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