高校生も一票 政治に意識を
2006年05月23日
高校生も1票を――。若者の政治参加への意識を高めてもらおうと、松沢成文知事は、実際の国政選挙や地方選挙での高校生による「模擬投票」を柱とした政治参加教育構想をまとめ、実現に向けた検討に着手した。今後、県教委や県選挙管理委員会と実施マニュアルについて調整する考えだ。早ければ来年の参院選で始める方針。当面はモデル校で態勢を整え、全高校での実施をめざす。
(二階堂勇)
低下する若年層有権者の投票率を上げるのが狙い。構想では「選挙権を取得する直前の世代」である高校生を対象に、婦人参政権獲得の歴史や政党の意義といった「座学」の充実のほか、実際の選挙の候補者に投票する「模擬投票」の体験を通じて、政治と選挙を学んでもらう。
松沢知事は22日、朝日新聞の取材に対し「政治意識の高い市民が政治をつくる。そのための環境づくりは政治家の責務だ」と述べた。
公職選挙法で「人気投票の公表」を禁止している問題については、松沢知事は先行事例を念頭に「選挙は学校内にとどめ、投票結果は、本来の選挙結果判明後に公表すれば、抵触しないのではないか」と述べ、今後、詳細な運用方法をまとめるという。
選挙権年齢の引き下げを訴え、模擬投票を呼び掛ける活動をしているNPO法人「Rights(ライツ)」(東京都港区)によると、昨年の衆院選で行われた模擬投票は、北海道から関西地方までの中学校と高校など計44校。その前の03年衆院選では7校、04年参院選では21校で行われ、実施校は増えているという。
ライツの担当者は「行政の長が呼び掛けるのは全国で初めてではないか。一歩でも先んじて行われようとしているのは良いことだ」と評価した上で「知事という政治家が前面に出過ぎると、政治的中立をどう保つか、との意見が教育現場から出るだろう。実施にあたっては、学校側に自由裁量を与えるといった配慮が必要だ」と指摘している。
朝日新聞 2006年5月23日・神奈川県版