毎日新聞・朝刊(2007年7月24日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/senkyo/news/20070724k0000e040060000c.html
参院選:全国の学校で「模擬選挙」広がる NPOが支援
写真キャプチャー:1票の重みを感じながら、投票する高校生=東京都文京区の郁文館夢学園で、古関俊樹撮影
やがて有権者になる子どもたちに政治への関心を持ってもらおうと、全国の学校で今回の参院選に合わせて「模擬選挙」が行われている。「国民投票法」は憲法改正案への投票年齢を18歳以上としたが、国政選挙でもこれに合わせて年齢を引き下げるか検討が進められている。特別授業を設け、選挙の大切さを教える学校も現れた。
東京都文京区の学校法人「郁文館夢学園」(渡辺美樹理事長)の中学と高校で今月19日、全校生徒約1500人が参加し、参院選の模擬選挙が行われた。リアルさにこだわり、区役所から本物の投票箱や投票用紙の記載台を借りて、体育館に設置した。生徒たちは記載台に張られた政党名の一覧表を見つめながら、投票した。
同学園の模擬選挙は、4月の都知事選に次いで2回目。模擬選挙前に特別に時間を設け、選挙制度の仕組みや各政党の主張を生徒に教えた。高校で政治経済などを教える小山久教諭は「国民投票法についても生徒に教えた。18歳に近い年代でもあり、生徒の関心は高かった。国の大事なことを自分たちが判断できるのかと不安がる生徒もいた」と話す。
同校では学生10人ほどが「選挙管理委員会」を作り、各政党に公開質問状を送付。その回答を投票の参考にしてもらうため生徒に配布した。同校選管メンバーの高校2年、本多健裕さん(16)は「模擬選挙を通じて、1票の重さがよく分かった。自分の投票した政党がきちんと働くか、今後も注目したい。将来選挙に行く時にも、今回の経験が役立つと思います」と話していた。
同校の模擬選挙をサポートしたのがNPO(非営利組織)「模擬選挙推進ネットワーク」(東京都町田市)。同NPOによると、今回の参院選では全国で60校ほどが模擬選挙に参加する見通しで、42校だった05年(衆院選)を上回る。参院選後、参加校の結果を集計し、実際の選挙結果と合わせて生徒に知らせるという。
同NPOの山崎武昭代表は「法律で決まったから選挙に行けと言われても、心の準備がなければ未成年者は戸惑ってしまう。模擬投票で選挙の制度や意義を学び、関心を高めることが大事だ」と話している。【古関俊樹、桐野耕一】
毎日新聞 2007年7月24日 13時04分 (最終更新時間 7月24日 13時46分)