2015年6月4日の衆議院本会議にて、選挙権年齢を現行の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正案が全会一致で可決されたことを受けて、林大介・模擬選挙推進ネットワーク事務局長が、NHKニュース内でコメントをしました。
以下のサイトから動画を見ることができます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150604/k10010103291000.html
===本文書き出し===
選挙権年齢引き下げ 専門家「主権者教育が重要」
6月4日 17時54分
選挙権年齢引き下げ 専門家「主権者教育が重要」
選挙権年齢が引き下げられる見通しになったことについて、若者の政治参加に詳しい専門家は今後、若者の政治への意識を高めるための「主権者教育」が重要になってくると指摘しています。
選挙権年齢が引き下げられる見通しになったことについて、若者の政治参加に詳しい東洋大学の林大介助教は「非常に大きな転換点だ。大人と子どもが一緒になって社会をどうしていくか、考えるきっかけになると思う。今まで『お任せ型』だった民主主義が深まり、若者の投票率が今までより上ることも期待している」と話しています。
さらに若者への主権者教育について、「これからの社会を担う未来の有権者に対して『自分も社会の一員なんだ』と実感させていくことが重要だ。遠い存在だった政治や選挙をいったん自分のこととして考える機会があれば、大事だと思うようになる」と話しています。
そのうえで教育現場での政治的中立性について、「先生のひと言が生徒に影響を及ぼすのではないかという指摘が常にあり、先生が何を話すのかが重要になる。バランスを持って各党の政策や主張をきちんと伝え、『いろいろな意見がある』と生徒に考えさせる工夫が必要だ」と指摘しています。
海外では「主権者教育」盛ん
海外の多くの国では18歳までの若者にも選挙権が認められていて、若者の政治への意識を高めるための「主権者教育」も盛んに行われています。
国立国会図書館の調べによりますと、選挙権年齢が判明している191の国と地域のうち、18歳までに選挙権が認められているのは176で、全体の92%に上ります。
このうち、16歳で選挙権を認めているのはオーストリアなど6か国、17歳で認めているのはインドネシアなど3か国、18歳で認めているのは167か国となっています。G7=先進7か国ではアメリカやイギリスなど日本以外の6か国はすべて18歳で選挙権を認めていて、日本もようやく世界の標準に近づいたとも言えます。
また、ヨーロッパやアメリカなどでは若者の政治への意識を高めるための「主権者教育」も盛んに行われています。
このうち、18歳から選挙権があるスウェーデンでは、国政選挙に合わせて中学校や高校で全国一斉に「模擬投票」を行います。実際の立候補者や政党幹部が学校を訪れて政策を訴え、生徒たちはその内容を聞いたうえで、模擬投票を行い、有権者としての選択を本物の選挙と同じような形で体験します。スウェーデンではこうした教育に国を挙げて取り組んでいて、去年の国政選挙での18歳から29歳の投票率は81%と非常に高くなっています。
一方、日本では、去年12月に行われた衆議院選挙の20代の投票率は32.6%に落ち込んでいます。
選挙権年齢の引き下げを機に、「主権者教育」などを通じて若者の政治への関心をどこまで高められるかが、今後の課題となりそうです。