7/16付の毎日新聞にて、模擬選挙が取り上げられました。
===
http://senkyo.mainichi.jp/news/20130716k0000m010096000c.html
ルポ選挙離れ:「模擬選挙」実際の結果とほぼ変わらず
毎日新聞 2013年07月16日 10時00分(最終更新 07月16日 10時42分)
新聞などに掲載された各政党のマニフェストを読み比べた後、模擬投票に臨む高校生たち=東京都町田市の玉川学園で2013年7月8日、小出洋平撮影
拡大写真
「『日本を取り戻す』って、いつの日本のこと?」
新聞に載った各政党の公約を読み比べて疑問点を話し合い、支持する政党に1票を投じる−−。そんな「模擬選挙」に今月9日、玉川学園(東京都町田市)の高校3年生たちが挑戦した。使われた記載台や投票箱は市選挙管理委員会から借りてきた本物。投票を終えた藤田育好(やすこ)さん(17)がうれしそうに言った。「自分が選んだ政党が本選挙でどういう結果を出すか、今から気になります」
玉川学園の模擬選挙は12年前に始まったが、興味深いデータがある。昨年末の衆院選の比例代表の得票数で上位3党の自民、維新、民主は、660人が参加した同学園での模擬選挙でもトップ3だった。担当している社会・公民科の●合(そあい)宗隆教諭(41)によると、これまでも模擬選挙と実際の選挙の結果はほとんど変わらないという。「生徒たちも大人と同じような情報を得て判断している。選挙結果は『自分たちにも大人と同じようにできるんだ』という自信にもなります」
一方、玉川学園と同じ日に青森県弘前市の市立中学校で行われた模擬選挙では、参加した3年生約40人が「ふじ党」「王林党」などリンゴの銘柄をつけた政党名を書いて投票した。選挙直前になって市教育委員会が「実際の政党名を使うのは学習指導要領を超える」と指摘したからだ。模擬選挙を授業に導入している芝浦工大柏高校(千葉県柏市)の杉浦正和教頭(61)は残念がる。「模擬選挙の目的のひとつは、若者たちに現実の政治について考えてもらうこと。架空の政党や公約では意味がない」
◆
若者の投票率は特に低い傾向がある。総務省が前回参院選(2010年)の全国188投票区の世代別投票率を調べたところ、65〜69歳が78・45%だったのに対し、20〜24歳は33・68%と半分以下だった。
玉川学園で模擬選挙を経験した高校生たちは、どんな有権者になっているのだろう。6人の卒業生に会った。
慶応大3年の牛久彩也乃(あやの)さん(21)は成人して最初の選挙が昨年末の衆院選で、迷わず投票所に足を運んだという。3年前、学園で自分が1票を託した政党が開票すると票を大きく伸ばし「すごくうれしかった。あの時たぶん1票の重みを知ったのかも」。玉川大4年の渡辺修平さん(21)は「投票前はひとまず、街頭で配る政策ビラを集めている。高校時代に公約を見比べたからでしょうか」。同4年の児玉愛恵(まなえ)さん(21)も「初めての投票でも不安がなかったのは、あの模擬選挙の体験が大きかった」と振り返った。
かつて住民に投票を促してきた地域の結びつきが解体する中、子どもたちに模擬選挙を体験させる学校が増えている。参院選でも全国180カ所以上で実施予定だ。神戸大の品田裕(ゆたか)教授(投票行動・選挙制度論)は言う。
「今は初めての選挙すら投票に行かない若者が増えていますが、模擬選挙のように実体験をさせれば動機付けができる。ただ現場の教員はあまりに忙しく、行政の支援があれば一層普及するでしょう。投票は民主主義の基礎。その環境整備を進めることが重要です」【町田結子】
●は石へんに「夾雑物(きょうざつぶつ)」の夾